自分の中にあるもの(3)
これは私が20代に入ってそんなに経たない頃に見た夢の話だ。
𓆸 𓂂.𑁍𓆸 𓂂.𓂃𓂂*.゚
中学高校の時に同級生で、何度か同じクラスになった女の子がいた。
時々話をする程度だったが、控えめだけどしっかりしている、心のやさしい子だった。
その子がまだ在学中に病気になってしまった。
当時相当馬鹿だった私は(今もか・・・)あまりそれにピンと来ずに、お見舞いに行った時も「〇〇(愛称)は頭がいいから、遅れてる(休んでいた期間の)とこなんて、すぐに取り戻せるから大丈夫!!」
なんて言って、たぶん彼女の聞きたかった話は他にあったかもしれないのに、それを尋ねる気が回らなかった。他には勉強の進み具合とか、先生の話をしたような気がする。
以前の彼女よりずっと痩せて見えたことにうろたえて、芸能人のつまらない話もベラベラしゃべっていたと思う。
でも彼女は微笑んで、私の方を見てそれを聞いてくれていた。
熱があるということで長居はできなかったが、目で見送ってくれた彼女の微笑みが少し寂しそうで、いたたまれなかったことを思い出す。
それからものの数ヶ月で、彼女は天に召された。クラスメイトと共にお焼香もさせて頂いたが、写真の中で微笑む彼女がもういないなんて信じられない。全然ピンと来なかった。
彼女はある日の、もう暗くなってしまった下校の途中に私と偶然出くわして、分かれ道まで自転車の後ろに乗せてくれたことがあった。彼女はちょっと足が悪かったのに。家が遠かった私を途中まで乗せてあげると言ってくれた。
大馬鹿な私は「えーッ(>[]<)ホントに乗ってもいいの〜!? 」と、うれしそうに聞き返し、
そんな私に彼女は(* 'ᵕ' )イイよと、背負いカバンを前カゴに移して後ろの荷台を空けてくれた。
彼女はそんな子だったのだ。
それは思いがけなく見た夢だった。
少し黒っぽい土の、小さな丘のような場所があった。土は少し湿っぽい感じで、滋養満点の香りのするような土だ。
その丘の真ん中を、緩やかな蛇行の線を描いて道が通っていた。人の歩く道。人ひとりが歩いて行けるような、なだらかな道だった。
その道の周囲には、色とりどりの美しい牡丹の花が咲いていた。土から沢山の滋養を受けているようで、牡丹の花畑は満開で、艶やかで、見事だった。
そこに彼女がいた。
「あっ、〇〇・・・!」
私は彼女の名を呼んだ。すると彼女はゆっくりこちらに近づいて来た。
そして、言葉は無かったが、「どうしたの?」とでも言いたげに彼女は微笑んで、首をかしげて私の顔をのぞきこんだ。
・・・
・・・
そこで目が覚めた。
いつか彼女にまた会いたい。